1990年のGW。当時中学1年生だった長男の真郷(まさと)は、「父と旅をします」と言って学校を休んだ。郷里で教員をしていた僕の父は、カンカンになって電話をかけてきた。
けれど、歩き終えた二人の日焼けした顔を見て、「ええことをした。お前はほんまにええことをした」と喜んでくれた。
父と子の紀伊半島ふたり旅。この3月後、真郷はひとりで北海道に旅立った。

來田淳